待望の一時帰宅 目次 →最初から読む
お彼岸を迎えたある日のこと、朝から帽子をかぶり外出の洋服に着替えて、誰か家まで送って欲しいと言われた。お聞きすると夢でK様のお母様が出てきた。随分と墓参りをしてないので帰りたいと強く言われた。少し落ちついて頂き、一度家族さんと相談し日程調整しますとお伝えした。娘さんにお伝えするとご自宅には身体の不自由な奥様が一人で住まわれており、K様お一人で帰すわけにはいかないとの事でした。事業所内で検討し事業所の福祉車両にスタッフが付添送迎する事を娘さんに提案させていただいた。
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お墓は、かなり山中にあり危険なのでK様のご自宅の仏壇にお参りする事となった。日程をお伝えすると洋服と靴を新調すると言われるのでお部屋にある洋服で充分ですよと説明させて頂いた。子供が遠足を指折り数えて待ち望むようにK様も毎日その日を楽しみにされていた。歳に関係なく嬉しものだと思った。帰宅当日施設長の運転する福祉車両でK様のご自宅にお送りした。
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車中いつもの元気な口調が無く、緊張してか神妙な面持ちであった。かなり山深く隣家との距離も随分あり田舎の雰囲気充分であった。仏壇にお参りし奥様と久しぶりに歓談されていた。その後ご近所の友人宅を訪ねたいとの希望がありお連れした。ご友人からお話を伺うとK様は地域の人気者で慕われていたとの事がわかった。帰ってこられてからも「よかった、よかった、オッカーに会えた」と大変喜ばれていた。